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上の動画は平成26年2月11日、建国記念の日に開催された第六回国護り演説大会(主催:(株)キャリアコンサルティング)にて演説させていただいた時のものです。
私の医療に対する想いや哲学を感じていただけるものと思います。
みなさんは、健康についてどのようにお考えでしょうか?
意外と知られていないことですが、「健康」とは「健体康心」の略になります。つまり、心と体の両方がすこやかであってはじめて健康と言えるのです。
近年、うつ病などのいわゆる「心の病」になってしまう人が増えていることからも、心と体その両方が大事であるという考えに異論を唱える人は少ないと思います。
しかし現代西洋医学において、医師をはじめとする多くの医療従事者が心と体は全く関係がない、全く別のものとして切り離して扱ってきました。
つまり、いわゆる「心の病気」であれば精神的なものから、「体の病気」であれば肉体に、とそれぞれ個別に原因があると考えられてきたのです。
平成27年7月に放映されたNHKスペシャル「腰痛・治療革命」。この番組では「腰痛の原因は脳にある」という最新科学が紹介され、大反響を呼びました。「痛みの原因は脳の誤作動…」という解説に、衝撃を受けた方も多いかと思います。
こうした番組作りに象徴されるように、実は今、痛みの医療は歴史的な変革期を迎えています。脳における感覚統合(感覚⇒知覚⇒認知の制御)には、システムエラーが意外なほど多く潜んでいることが最新の脳科学によって示されているからです。
パソコンに何らかの不具合が起こった場合、ソフトウェアとハードウェアどちらの問題なのかを見極める必要があると思いますが、それは人間も同じです。
しかし実際には冒頭でお伝えしたとおり、現代整形外科ではソフト(脳)の知識を持たない医師をはじめ医療従事者が痛みの原因診断および治療に当たっているケースが大半のため、従来どおりのハード(肉体)のみの説明や治療に終始しているのが現実なのです。
脊椎の世界的権威Norbert Boos博士はそうした現状に対して、「我々は画像所見と症状が相関しないことを知っている。我々が治療すべきは患者であってMRI写真ではない」と痛烈に批判しています。
先ほど挙げた「NHKスペシャル」においても、脊椎の専門医が登場し「腰痛のない人にも骨の変形はたくさん見つかります。画像に映し出される変形は痛みの原因ではありません。また、ヘルニアの9割が自然消滅することが分かっており、多くの場合手術の必要はありません…」と、衝撃的な告白をしました。
最新の脳科学の研究から言えること...それは「ハード(肉体)の問題」と「痛み」を切り離す視点の重要性になります。
私が所属するBFI研究会の代表・三上敦士先生は、この新たな視点による痛みの分類を提唱しておられます。
①脳のシステムエラーによる「ソフトペイン」
②組織の障害を知らせる「ハードペイン」
③この両者の混成痛「ハイブリッドペイン」
手術後も改善しない、または再発する痛みはソフトペインの可能性が高く、「画像診断によるハードペイン」という思い込みから解放されるだけで、驚くほどの回復を見せる方が実際にいらっしゃいます。
NHKスペシャルでは先ほどの専門医が語る映像を腰痛患者(175人)に見せたところ、なんとそれだけで約4割の人が改善したという結果が紹介され、まさしくソフトペインであるがゆえの性質、本態、メカニズム(画像診断による思い込み、先入観を払拭することで、心からの「安心スイッチ」が入ると脳内の「痛み回路」の過活動が鎮まり、ソフトペインが改善する)を世に知らしめる結果となっていました。
この番組は腰痛に的を絞った内容でしたが、では数ある痛みの中でも腰痛だけがソフトペインなのでしょうか?
たとえば、首のレントゲン検査において「ストレートネック」が見つかると首痛や肩こりの原因だと説明されることが多いわけですが、NHKスペシャルで紹介された映像実験の首(頚椎)バージョンを行ったら、同じ結果になったのではないでしょうか?
つまり、痛みのある場所がどこであれ、慢性痛の正体はあくまでソフトペインであり、脳の中の言わば「火災報知機の誤作動」に過ぎません。実際には火事は発生していないのに報知器だけが鳴り響いているような状態、これがソフトペインだと言えます。
エラー状態にあるソフト、すなわちバグを抱えたプログラムに対しては修正プログラムをインストールすることで復旧されるわけですが、人間の脳にとってもそれと同じことが言えます。
実は私たち人間は、五感を入口にして日々ソフトのアップデートを繰り返しています。心地いい音楽を聴いているときは聴覚を入口にして、芳しい香りに満たされているときは嗅覚を入口にして、脳は自動的にアップデートを行っているのです。
アップデートの中身に修正プログラムが含まれているかどうかは「脳との相性」によって変わります。そのため、音楽療法で改善する脳もあれば、アロマテラピーで改善する脳もあるということが言えるわけです。もちろん、マッサージや電気療法も同様です。
ちなみに触覚と運動覚を入口に脳のアップデートを促す治療が、私が当院で行っているBFI(ブレイン・フィンガー・インターフェース/脳と手指を繋ぐ技術)で、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、さらにCRPS(RSD)や線維筋痛症に代表される「難治性疼痛」の治療を追究する中で三上先生が生み出された技術になります。
これらの難治性疼痛をはじめ、多くの痛みはハードペインではなくソフトペインもしくはハイブリッドペインであり、三上先生をはじめBFI研究会会員の臨床において、圧倒的にソフトペインが多いというデータが得られています。BFI を実践することで多くの痛みやしびれの背景には「ソフトの問題」が隠れていることが分かったのです。
つまり、「一生治らない」かのように言われてきた痛みやしびれでも、脳にアプローチすることで、すなわちソフトを改善させることで治るということです。
※BFI(Brain-Finger Interface) ...術者の手指による全身へのやわらかな刺激を通して脳に働きかけ、ソフトの問題を改善させようとする技術。脳代謝バランスおよび自律神経バランスを回復させ得る、画期的な療法。
今、痛みの医療は本当に大きな転換期にあります。
あなたはソフトのアップデートで解決を図りますか?それとも、今まで通り画像診断を信じてハードの修理に臨みますか?
一人でも多くの患者さん、そして多くの人々が脳と痛みの関係を知ることで無駄な治療や手術をしないですむ...そんな世界の実現のために、私は尽力していきます。
あおぞら整骨院院長 石関祐輔